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君の叫び声が聞こえる
僕はまったく君を見つけられなくて
ついに強くブレ始める視界
ビルの狭間に入っては
頭上を横切る視線
浅い喉の渇き
君がこの青い影に取り込まれていないことを祈りながら
見覚えのない部屋をいくつも
いくつも見ては
傷つきながら開かれる
等しく揺れるレースのカーテン
映り込む影をナイフで裂き
白い筋になる呼吸をたずさえ
燃えるように走っていた
君が苦しみから逃れるために
僕を忘れるのかもしれないと考えた途端
あまりの渇きに吐き気がして
呼吸が詰まり喉を押さえ立ち止まった
鼓動だけが近く
手が足が腕が肩が鎖骨が重力を示す僕のペンダントが
このアスファルトが
途轍もなく
軽い
全身に差す
この水色の根源を今
震えるほど欲している
気が付けば息をせずとも生きている
僕は重しが欲しい
背中から肋骨にいたる
領域というものへの確信が欲しい
そうして滴りもしない、
硬い憎しみと憤怒の塊をえぐり続けている
果肉がそらきしむ
腕の血管を浮き立たせている
死んだ街が黒く透き通っていく
望んでもいない光が
青を希薄にしていく
月の雨
2014 .12
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