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分離した女が
あの黒い海に眠るとき
もう片方の女は
冷たい音楽のようにバイクを走らせている
首が飛びそうなほどの速さ
握りしめる力に自己を重ね
それでも
青い光と赤の絶え間ない連続を欲して
佇んでいる
一瞬の視界
誰にも知られない場所 時間に
文脈から解き放たれて
呼吸をゆるやかに続けながら
今が香る
端を折り重ねて引き伸ばしている
かがやくように青い昼も
けたたましい朱色の朝も
腐った生物の湿度もいらない
ただ此処で
沈黙を守る亡霊のように息をしていたい
だから
もう少しだけ
午前二時の空気
地下から現れる
足下の車線
肩まで伸びてきた髪
後姿が光る
何も
何も
地上合流地点
詩:2012年制作
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